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2021.09.09 公開 | 2021.09.10 更新

脳腸相関とは?認知症との関係性について

脳腸相関とは?認知症との関係性について
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人にはさまざまな臓器があり、それぞれが助け合ってわたしたちが普段の生活をおくれるよう休まずはたらいてくれています。

脳は普段からたくさんのことを考えたり、想像しています。

腸ではわたしたちが食べたものを消化吸収してくれています。

この一見関係ない臓器同士が、実はお互いに影響を及ぼすというのをご存知でしょうか。

今回は脳腸相関についてお話していきたいと思います。

この記事をよめば、脳腸相関についてどういうものかわかるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

そもそも脳腸相関ってなに?

脳と腸に相関関係があることを示す
脳腸相関とは、脳の影響が腸に何らかの影響をもたらすこと。

あるいは、その逆である腸が脳に影響をおよぼす現象のことをいいます。

脳と腸ははなれたところにありますが、自律神経や身体の物質が密接に関連しているといわれています。

腸は「第二の脳」といわれている

腸は「第二の脳」とよばれており、たくさんの神経が集まっています。

神経は脳にもつながっているので、お互いが連絡を取り合えるような関係性なので、脳が感じたことが何らかの形で腸へ伝わっているかもしれません。

例えば、難病に指定されている過敏性腸症候群やクローン病の原因の一つにストレスが関係しているといわれており、脳が感じる刺激は腸へも伝わっていることが想像できます。

脳が腸へもたらすはたらき
例えば、仕事や人間関係などでストレスを感じたときにお腹が痛くなったり、下痢、便秘になってしまったことはありませんか?この現象はストレスを感じた脳が神経などを介して腸へ信号を送っていると考えられています。

腸が脳へもたらすはたらき
腸は「第二の脳」とよばれており、たくさんの神経が集まっています。腸には数にして100~1000兆ほど、およそ1000種類の細菌たちが住んでいて、腸の壁に張り付いています。

腸内細菌叢(腸内フローラ)ともいわれており、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌から、大腸菌、ブドウ球菌などの悪玉菌まで実にさまざまです。

腸内細菌叢(腸内フローラ)は心や身体に大きな影響を与えることがわかっており、生活習慣病予防も期待され、今ではたくさんの会社から腸内環境を整える商品が発売されています。

また、うつ病の治療も大きく関与するセロトニンの原料がつくられることでもしられており、腸内環境を整えることは脳にいい影響を与えるといってもよいでしょう。

腸内環境が悪化するとどういう影響があるの?

調子が悪そうな女性
腸内には大きく3つの細菌がいるとされています。

  • 善玉菌 :身体に良いはたらきをする菌
  • 悪玉菌 :身体に悪いはたらきをする菌
  • 日和見菌 :普段は無害だが、腸内環境が悪化すると悪さをする菌

腸内細菌は

・腸の消化吸収などのはたらきを手助けする
・病気の感染を防ぐ・免疫力を上げる
・腸内細菌が生み出す酵素が腸内のコレステロール、アンモニア、尿素などの分解を促進
・発がん物質の発生を抑制する

などさまざまな作用をもっています。

腸内フローラをよい状態で保っておくことは私たちにとってメリットが多いといえるでしょう。

腸内フローラでは善玉菌(2):悪玉菌(1):日和見菌(7)の割合が良いとされています。

もしも腸内環境が悪くなった場合、次のようなことが起こるかもしれません。

  • 免疫力の低下
  • 血流の低下
  • 認知症の発症リスクを上げる
  • ストレス耐性の低下
  • 睡眠の質への影響

また、腸内環境が悪いことで、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病をはじめ、打つなどの精神病、脳卒中、心筋梗塞などのきけんな病気などのリスクになるといわれています。

免疫力の低下

わたしたちの体では外から侵入する細菌やウイルスなどの病原菌を撃退し、体を守る防御システムがあり、「免疫」と呼んでいます。

免疫システムを担っているのは様々な免疫細胞ですが、腸は全身の免疫細胞の約7割が集まる、免疫においてとても重要な内臓です。

腸内環境のバランスが悪化してしまうことで悪玉菌が優勢になってしまい、腸の免疫機能が低下し、感染症などの病気にかかりやすくなります。

また、花粉症やアトピーなどのアレルギー性疾患や、リウマチなどの自己免疫疾患など、腸内環境が悪化してしまうとこのような疾患のリスクとなります。

血流の低下

腸内環境が悪化することで血液がドロドロになるといわれています。

腸は多くの神経が張り巡らされており、腸内環境の悪化によって自律神経に乱れが生じます。

また、排便状況が悪くなり、身体の中にある老廃物の量が増えていき、血液中には毒素や老廃物が溜まった状態となります。

このような状況下では血液が全身にいきわたりにくくなり、生活習慣病のリスクとなります。

認知症の発症リスクを上げる

国立長寿医療研究センター・佐治直樹氏らによると、日本の高齢者において、腸内細菌の組成と認知症が深く関連している可能性があることが判明したという研究発表がなされました。

その発表の中で高齢の認知症患者の腸内細菌叢(腸内フローラ)を調べたところ、「バクテロイデス」という腸内細菌の比率が少ないことがわかりました。

腸内にバクテロイデスが少ないことが、認知症の発症の原因であるというとはいえませんが、認知症患者の腸内環境ではこのバクテロイデスが少ないことがわかっています。

バクテロイデスの主な食事は食物繊維ということですから、普段から偏った食生活を送って腸内環境が悪化してしまうとバクテロイデスの数は減っていってしまうでしょう。

ストレス耐性の低下

腸内の状況は脳へ伝わるといわれており、腸内環境が悪化していると脳に何らかの影響があると考えられています。

腸内環境は自律神経にも影響を及ぼしますので、自律神経の乱れにより精神的な負荷がかかる可能性も考えられます。

また、腸ではセロトニンのもととなるアミノ酸が合成されます。脳内のセロトニン量が少なくなることでストレスへの耐性が低下したり、うつ病を引き起こしてしまうかもしれません。

睡眠の質への影響

腸内ではセロトニンの原料となるトリプトファンが合成されています。

このトリプトファンには睡眠をつかさどる物質の1つである”メラトニン”という物質の生成にも関係していますので、腸内環境の悪化によるトリプトファン量が低下してしまうことで寝つきが悪くなったり、何度も起きてしまうなどの睡眠障害につながります。

腸内環境を整えるには

色とりどりの野菜
腸内環境の悪化によって生活習慣病をはじめさまざまな症状が引き起こされる可能性があります。

腸内環境は次のようなことを心がけることで良い状態を保つことができるでしょう。

・食物繊維の豊富な食事を心がけましょう
・肉食中心から菜食中心に乳製品はなるべく避けましょう
・「水分」ではなく「水」を取りましょう

日頃から偏った食生活を送っている人や、生活リズムがみだれている人はぜひ心がけてみてください。

食物繊維の豊富な食事を心がけましょう

食物繊維を摂ることは腸内環境にとってとても重要です。

食物繊維を摂取することで、「悪玉菌の減少」や「便通の改善により体内の老廃物量の低下」が期待できます。

肉食中心から菜食中心に

肉など動物性脂肪を多くとりすぎてしまうと悪玉菌が増えてしまうことがわかっています。

これにより腸内環境のバランスが崩れてしまい、悪化につながります。

野菜を中心とした食生活を送ることで食物繊維の摂取量も増え、悪玉菌の増加も抑えられるでしょう。

乳製品はなるべく避けましょう

乳製品を取ることは一見すると身体によいと考えがちですが、注意が必要です。

牛乳などの乳製品には乳糖が多く含まれていますが、乳糖を消化できる酵素があまり多くない人もいます。

乳糖が消化できないまま腸へたどり着いてしまうことで消化不良を起こし、かえって腸内環境に悪影響を及ぼしてしまうのです。

毎日乳製品を摂取している人は控えた方が良いでしょう。

「水分」ではなく「水」を取りましょう

腸の動きを活発にしたり、便通を改善するには水を摂取することが効果的とされていますが、「水分」ではなく「水」を摂取することを心がけましょう。

水以外の水分には水に余分なものが混ざっています。

例えば、お茶やコーヒーに含まれているカフェインには強い利尿作用があります。

また、酒などに含まれるアルコール類では、アルコールを消化するために水分を消費してしまい、かえって身体の水分を奪うことになってしまうのです。

水分補給を行う際にはなるべく水を摂るようにしてください。

まとめ

笑顔の高齢女性
脳と腸の関係性や腸内環境がおよぼす影響についてお話しさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

腸内環境を良い状態に保つことで生活習慣病などを防ぐことが期待できるでしょう。

日頃からバランスの良い食生活を行い、腸内環境を整えて身体の健康を保つことをおすすめします。

【出典】
新谷弘実(2015)「認知症がイヤなら『腸』を鍛えなさい 」SBクリエイティブ
新谷弘美(2005)「病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘美(2008)「図解 病気にならない生き方」サンマーク出版
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